「住んでみて分かった」シリーズ、第4回はバス便の家である。
最寄り駅まで歩けない。駅まではバスに乗って、そこから電車で通勤・通学する。物件情報に「バス10分 停歩3分」と書いてある、あの家だ。
不動産の世界では、バス便は分かりやすく不人気である。家賃が安い以外にメリットはあるのか、と聞かれたら、答えに詰まる人も多いだろう。
でも、先に告白しておく。実は好きなのだ、バス便の家。
デメリットは、いくらでも思い浮かぶ
公平のために、まず弱点から並べておく。
- 面倒:家を出て、バス停まで歩いて、バスを待って、乗って、駅で降りて、電車に乗る。乗り換えが一つ多い
- 時間がかかる:駅まで歩ける家に比べると、片道で十数分は余計にかかる
- 到着時間が読めない:道路が混めばバスは遅れる。雨の日や年末は特に怪しい
どれも本当だ。否定するつもりはない。
それでも、バスに揺られる時間は悪くない
ただ、バスに乗っている時間そのものは、案外悪くない。
窓の外を、街の景色がゆっくり流れていく。車内を見回すと、本を読んでいる人もいる。
考えてみると、家に早く着いたところで、きっとスマホをいじっているだけだ。それなら、のんびりバスに揺られて家に帰るのも悪くない。画面から目を上げて、ぼんやり外を眺める十数分。むしろ、今の私たちに必要な時間なのかもしれない。
最近は、そこまで不便じゃない
バス便の家の不便さは、昔に比べるとかなり小さくなっている。
出前もある。宅配もある。通販なら、重い水もお米も玄関まで届く。駅前まで買い物に行かなければ生活できない、という時代ではなくなった。毎日の通勤・通学さえ受け入れられれば、バス便の家は十分に暮らせる。
バス便の家を選ぶなら、見ておきたいこと
バス便の家を考えている人は、家賃の安さだけでなく、次のことも確かめておくと安心だ。
- バスの本数:朝の通勤時間帯に、1時間に何本あるか。10分に1本なのか、30分に1本なのかで、暮らしやすさはまったく違う
- 始発と終バス:残業や飲み会で遅くなったとき、帰ってこられるか。終バスを逃したときのタクシー代も頭に入れておく
- 道路の混み具合:朝夕のラッシュ時に、実際に乗ってみる。時刻表どおりに着くかどうかが分かる
- 自転車でも行けるか:天気のいい日は自転車で駅まで、という選択肢があると心強い
- 値段の考え方:買う場合、駅から歩ける家より売るときの値段は下がりやすい(投資用に買って苦労した話は区分マンション投資でやらかした話に書いた)。ただ、裏を返せばこれはメリットでもある。賃貸なら、そのぶん家賃が安くなる。ローンを組んで買うなら、同じ予算で広さなどほかの条件がぐっと良くなる
まとめ:バス便は「時間を損する家」ではなく「時間の使い方が変わる家」
バス便の家は、確かに不便だ。それでも、バスに揺られる時間を「失った時間」と思うか、「自分の時間」と思うかで、住み心地はずいぶん変わる。
家賃が安いうえに、毎日ぼんやりできる時間までついてくる。そう考えると、バス便の家は、案外お得なのかもしれない。