家を売ろうと思って一括査定サイトに入力すると、翌日から電話が鳴りやまない。そして届く査定額は、A社が4,200万円、B社が3,700万円、C社が3,900万円。500万円も差がある。

どれが本当の値段なのか。答えは、どれも本当の値段ではない、である。査定額は「このくらいで売れると思います」という不動産会社の予想にすぎない。

実は、家には値段が3つある。この記事では、その3つの違いと、査定を頼む前に自分で相場をつかむ方法をまとめた。

家の値段は3つある

値段誰が決めるどこで見られる
査定額不動産会社の予想査定を頼むともらえる
売出価格売主の希望SUUMOなどのポータルサイト
成約価格実際に売れた値段国土交通省やレインズのデータ

信じていいのは3つ目の成約価格だけだ。ポータルサイトに並んでいる値段は「この値段で売れたらいいな」という希望で、実際にはそこから値下げ交渉が入る。売れ残った物件の値段も混ざっている。

査定額が高く出やすい理由

査定額が会社によってばらつく理由の一つは、不動産会社が「売却を任せてもらう」契約を取りたいからだ。

売主はふつう、一番高い査定額を出した会社に頼みたくなる。だから、あえて高めの査定額を出して契約を取り、売れなかったら「相場が弱いので」と値下げを勧める。業界では「高預かり」と呼ばれる手法だ。もちろん全部の会社がそうではないが、一番高い査定額が一番正しいとは限らない、とは覚えておきたい。

自分で成約価格を知っていれば、「その査定額の根拠は何ですか」と聞き返せる。それだけで、売主の立場はずっと強くなる。

成約価格を無料で調べる方法

国土交通省「不動産情報ライブラリ」

国が集めた実際の取引価格を、地図から無料で検索できる。住所の近くで、マンションか戸建てか、築年数、面積、取引時期で絞り込める。個人が特定されないよう、番地や部屋番号までは出ないが、相場をつかむには十分だ。

レインズ・マーケット・インフォメーション

不動産会社が使っている業者間ネットワーク「レインズ」の成約データを、一般向けに公開しているサイトだ。こちらもエリアや築年数で絞り込める。

路線価・固定資産税評価額

土地の値段の目安として、相続税の計算に使う「路線価」や、固定資産税の「評価額」もある。ただしこれは税金を計算するための値段で、実際の取引価格よりも低めに出る。土地の相場を大まかにつかむ補助として使いたい。

実際に計算してみる:山田さんのマンション

架空の山田さんに、自分のマンションの値段を出してもらおう。

  • 物件:郊外の駅から徒歩8分、築20年、専有面積70㎡の3LDK
  • 不動産情報ライブラリで、同じ駅・徒歩15分以内・築15〜25年のマンションの成約を調べた

結果、直近2年の成約が6件見つかった。1㎡あたりの価格は48万円から58万円で、平均すると約53万円。

53万円 × 70㎡ = 約3,700万円

これが山田さんの家の、ひとまずの相場だ。あとは個別の条件で上下させる。

  • 同じマンション内の成約があれば、それを最優先する
  • 角部屋、高層階、南向きなら少し上。1階や北向きなら少し下
  • リフォーム済みかどうか

この数字を持っていれば、4,200万円の査定額には「成約の相場より500万円高いですが、根拠は?」と聞けるし、3,700万円の査定額は「データに近い、正直な数字だ」と判断できる。

相場を知っている売り手は強い

家の値段を決めるのは、最終的には買い手だ。でも、その交渉の席で相場を知っているのが不動産会社だけだと、売主は言われるがままになる。

査定を頼む前に、30分だけ成約価格を調べてみてほしい。それだけで、電話をかけてくる営業担当者の話の聞こえ方が変わるはずだ。

参考