引っ越しを10回していると、どの家にも「住んでみて初めて分かったこと」がある。内見の30分では絶対に気づけない、暮らしの細かい引っかかりだ。

このシリーズでは、私が実際に住んだ家を1軒ずつ取り上げて、そんな引っかかりを書いていく。第1回はタワーマンション。夜景でも、エレベーター待ちでもない。困ったのは、洗濯である。

タワマンは、洗濯物を外に干せない

私が住んでいたタワマンは、バルコニーに洗濯物を干すことが禁止されていた。タワマンでは珍しくないルールだ。

理由はいくつかある。高層階は風がとても強く、洗濯物やハンガーが飛ばされると、地上の人に当たって大事故になりかねない。建物の見た目をそろえたい、という景観上の理由もある。そもそも、バルコニーの手すりより高く物を干すのを禁じているマンションも多い。

つまり、晴れた日にベランダで布団を叩く、あの光景はタワマンにはない。

毎回、乾燥機

外に干せないとなると、選択肢は部屋干しか乾燥機になる。私は結局、毎回乾燥機を使う生活になった。

乾燥機は便利だ。夜に回しておけば、朝にはふかふかのタオルができあがっている。ただ、ここに地味な落とし穴があった。

服によっては、高温で乾かしてはいけない素材がある。

縮む、傷む、型崩れする。ニットやおしゃれ着、一部の化学繊維などは、乾燥機の熱に弱い。すると、洗濯のたびに「これは乾燥機に入れていいやつだっけ」と、いちいち服のタグを確認することになる。

入れていい服と、入れてはいけない服を仕分ける。入れてはいけない服だけ、部屋のどこかに干す。大した手間ではないのだが、毎日となると、なんとなく気を遣う生活になっていく。住む前は、まったく想像していなかった種類のストレスだった。

洗濯表示の見方(これだけ覚えておけば大丈夫)

乾燥機に入れていいかどうかは、服のタグの洗濯表示で分かる。見るのは、四角の中に丸が描かれた記号だ。

  • 丸の中に点が2つ:普通の温度で乾燥機OK
  • 丸の中に点が1つ:低い温度なら乾燥機OK
  • 記号に×がついている:乾燥機NG

おすすめは、洗濯かごを「乾燥機OK」と「NG」の2つに分けておくことだ。脱いだ時点で仕分けておけば、洗濯のときに迷わなくて済む。

乾燥機の電気代は、年間どのくらい?

毎回乾燥機を使うとなると、気になるのは電気代だ。乾燥機の種類によって大きく違う。

乾燥機の種類1回あたりの電気代(目安)毎日使うと1年で
ヒーター式(縦型洗濯乾燥機・小型の衣類乾燥機など)50〜80円約2万〜3万円
ヒートポンプ式(主にドラム式)20〜30円約7千〜1万円

※ 電気料金1kWhあたり31円前後で計算した目安。機種や洗濯物の量で変わる。

ヒーター式で毎日回すと、年間で2万〜3万円。外に干せる家なら、ほぼかからないお金だ。タワマンの管理費と一緒に、「見えない家賃」として頭に入れておいたほうがいい。

タワマンを選ぶなら、内見で確かめたいこと

洗濯が気になる人は、内見のときに次のことを確かめておくと安心だ。

  1. バルコニーに干していいか:管理規約で決まっている。不動産会社に聞けば教えてもらえる
  2. 浴室乾燥機はあるか:あれば、乾燥機NGの服を浴室に干して乾かせる
  3. 部屋干しのスペースはあるか:窓際にカーテンレールとは別の物干し用のバーがあるか、除湿機を置く場所があるか
  4. 洗濯機置き場の広さ:ドラム式を置けるか。ヒートポンプ式を選べれば、電気代はかなり抑えられる
  5. 大物を洗える場所が近くにあるか:共用のランドリールームがあるか、近くに寝具などの大物を洗濯・乾燥できるコインランドリーがあるか

まとめ:眺望の裏に、洗濯かごの仕分けがある

タワマンの暮らしは、確かに快適だ。眺望はいいし、共用施設も充実している。ただ、その裏側で、毎朝洗濯表示を確認している住人もいる。

住まい選びで大事なのは、こういう「小さいけど毎日のこと」かもしれない。次回は、別の家で住んでみて分かったことを書く予定だ。