外干しが禁止されたタワマンで、毎回乾燥機を回す生活になった。そんな話をタワマンは洗濯物を外に干せないに書いた。そこでは、ヒーター式とヒートポンプ式の乾燥機で、電気代がどのくらい違うかをざっくり表にした。

でも、外に干せない家で使える手段は乾燥機だけではない。浴室乾燥機もあるし、部屋に干して除湿機を回す手もある。

この記事では、その表を広げて、乾燥機・浴室乾燥機・除湿機の電気代を比べてみる。使うのは、メーカーが公開している仕様表の数字だ。

計算のルール

電気代は「使った電力量(kWh)×1kWhあたりの単価」で計算できる。

単価は、家電の広告やカタログで電気代を表示するときの目安として、全国家庭電気製品公正取引協議会が定めている「1kWhあたり31円(税込)」を使う。2022年7月に改定された数字だ。実際の単価は、契約している電力会社やプラン、燃料費の変動で変わる。

1年あたりの金額は、毎日1回使ったとして365回で計算した。

比べてみた結果

乾かし方例にした機種と数字1回で乾かす量1回あたり毎日使うと1年で
縦型洗濯乾燥機(ヒーター式)洗濯〜乾燥で2,550Wh6kg約79円約2.9万円
ドラム式洗濯乾燥機(ヒートポンプ式)洗濯〜乾燥で約945Wh6kg約29円約1.1万円
浴室乾燥機(電気式)1,250Wで2〜3時間と仮定機種・量による約78〜116円約2.8万〜4.2万円
除湿機(コンプレッサー式)2kgの衣類乾燥で約17円(メーカー表示)2kg約17円約6千円
除湿機(ハイブリッド式)205〜225Wで約90分2kg約11円約4千円
除湿機(デシカント式)290Wで178分2kg約27円約1万円

例にした機種は、縦型がパナソニックNA-FW12V1、ドラム式がパナソニックNA-LX113E、浴室乾燥機がパナソニックFY-13UG7E、除湿機がシャープCV-U71、パナソニックF-YEX120B、パナソニックF-YZU60(おまかせモード)だ。どれもメーカーの仕様表の数字を、31円/kWhで計算し直している。

この表には、読むときに気をつけたいところが3つある。

  1. 洗濯乾燥機の数字は「洗濯から乾燥まで」:洗う分の電気代も入っている。除湿機と浴室乾燥機は乾かす分だけだ
  2. 除湿機は2kgで測った数字:メーカーの衣類乾燥時間は、2kg相当の洗濯物で測ったものが多い。洗濯機1回分の6kgを一度に部屋干しすると、もっと時間がかかる
  3. 浴室乾燥機の時間は仮定:浴室乾燥機は、洗濯物の量や浴室の広さで乾くまでの時間が大きく変わる。ここでは2〜3時間と仮定した

乾燥機:ヒーター式とヒートポンプ式で約3倍

同じ6kgでも、縦型のヒーター式とドラム式のヒートポンプ式では、1回あたりの電気代に約3倍の差が出た。

ヒーター式は、ドライヤーのように熱風を当てて乾かす。ヒートポンプ式は、エアコンと同じしくみで空気を温めたり除湿したりしながら乾かすので、使う電力が少なくて済む。

毎日回すなら、1年で2万円近い差になる。本体の値段はドラム式のほうが高いことが多いが、何年か使えば電気代の差で埋まっていく計算だ。小型の衣類乾燥機もヒーター式が多いので、電気代はヒーター式の縦型に近いと考えておくといい。

浴室乾燥機:便利だが、毎日だと一番高くつくことも

浴室乾燥機は、乾燥機に入れられない服を干しておけるのが強みだ。ただ、電気式の浴室乾燥機は消費電力が大きい。今回の例では1,250Wで、2〜3時間使うと1回あたり約78〜116円になった。

毎日のメインの乾かし方にすると、表の中で一番高くつくこともある。乾燥機に入れられないニットやおしゃれ着だけを干す「補欠」として使うのが、電気代の面では向いている。

なお、浴室乾燥機にはガスの温水で温めるタイプもある。こちらはガス代がかかるので、電気代だけでは比べられない。

除湿機:一番安いが、時間と場所が必要

1回あたりの電気代が一番安かったのは除湿機だ。コンプレッサー式やハイブリッド式なら、2kgを乾かして10円台で済む。

ただし、除湿機での部屋干しには次の条件がつく。

  1. 干す場所が必要:洗濯物を広げて干すスペースと、除湿機を置く場所がいる
  2. 時間がかかる:2kgで1時間半〜3時間ほど。洗濯機1回分を一度に干すなら、それより長くなる
  3. 方式で得意な季節が違う:コンプレッサー式は暑い季節に強く、寒い季節は能力が落ちやすい。デシカント式はヒーターを使うので寒い季節でも乾きやすいが、電気代は高めで、部屋の温度も上がる。ハイブリッド式はその両方を組み合わせたものだ

窓を閉めて、洗濯物の間を空けて干し、扇風機やサーキュレーターで風を当てると、乾く時間を短くしやすい。

外に干せない家で、組み合わせるなら

電気代と手間のバランスで考えると、組み合わせ方は次のようになる。

暮らし方組み合わせの例
とにかく手間を減らしたいヒートポンプ式のドラム式で毎回乾燥。乾燥機NGの服だけ浴室乾燥か除湿機
電気代を一番抑えたい部屋干し+除湿機をメインに。急ぐ日だけ乾燥機
縦型の洗濯乾燥機を使っている乾燥はまとめて回すか、除湿機と使い分けて回数を減らす

家を選ぶとき・売るときのヒント

外干しできない家を借りたり買ったりするなら、内見で次のことを確かめておくと、洗濯にかかるお金が読みやすい。

  1. 洗濯機置き場にドラム式が入るか:幅と奥行きに加えて、扉を開けるスペースや、搬入経路も見る
  2. 浴室乾燥機が電気式かガス式か:電気代とガス代のどちらに響くかが変わる
  3. 部屋干しのスペースがあるか:除湿機と一緒に使える、窓際の物干しバーやスペースがあるか

逆に、外干しできないマンションを売る・貸す側にとっては、ドラム式が置ける洗濯機置き場や浴室乾燥機は、買い手・借り手に説明しやすい長所になる。外干しのルールがどこに書いてあるかはタワマンの管理規約、住む前に読むべき5か所にまとめた。

まとめ:「干せない家」の電気代は、乾かし方で数倍変わる

外に干せない家でかかる洗濯の電気代は、乾かし方で大きく変わる。毎日使うなら、ヒーター式の乾燥機や電気式の浴室乾燥機は年に数万円、除湿機なら年に数千円から1万円ほどだ。

どれが正解というより、手間と時間と電気代のどれを優先するかで選ぶものだ。外干しできない家を選ぶときは、家賃や管理費と一緒に、この「乾かす代」も頭に入れておきたい。

参考