私が住んでいたタワマンは、バルコニーに洗濯物を干すことが禁止されていた。おかげで毎回乾燥機を回す生活になった話は、タワマンは洗濯物を外に干せないに書いた。

このルールが書いてあるのは、マンションの管理規約(と、その下の使用細則)だ。そして管理規約に書いてあるのは、外干しのことだけではない。ペットを飼えるか、床を張り替えられるか、将来人に貸せるか、車を停められるか。どれも住み始めてから「知らなかった」では済まない話である。

この記事では、タワマンを買う人・借りる人が、住む前に管理規約で読んでおきたい5か所を整理する。

そもそも管理規約とは

管理規約は、そのマンションの「憲法」のようなものだ。建物や敷地をどう使い、どう管理するかを、住む人(区分所有者)どうしで決めたルールである。

多くのマンションは、国土交通省が作っている「マンション標準管理規約」をひな形にして、自分たちの規約を作っている。標準管理規約は2025年10月にも改正されており、2026年4月に施行された改正区分所有法に合わせた見直しが入った。

押さえておきたいのは次の2つだ。

  • 細かいルールは「使用細則」に書いてあることが多い:標準管理規約でも、使い方の細かい決まりは別に使用細則で定める形になっている(第18条)。外干しやペットの決まりは、規約本体ではなく細則に書いてあることも多いので、両方を見る
  • 規約は、買った人にも借りて住む人にも効く:標準管理規約では、規約や総会の決議は部屋を買った人にも効力があり、借りて住む人も使い方については同じ義務を負うとされている(第5条)。「前の持ち主は知らなかった」「賃貸だから関係ない」は通らない

買う場合は、仲介会社に頼めば管理規約と使用細則を取り寄せてもらえる。借りる場合も、不動産会社に聞けば、使い方に関わる部分を見せてもらえることが多い。

1. バルコニー:自分の部屋の一部ではない

まず読みたいのがバルコニーの決まりだ。

意外かもしれないが、標準管理規約では、バルコニーは専有部分(自分の部屋)ではなく共用部分である。住む人はそれを「専用で使ってよい」という権利(専用使用権)を持っているだけだ(第14条)。だからこそ、使い方を管理組合が決められる。

タワマンでよくある決まりは、次のようなものだ。

  1. 洗濯物や布団を干さない:高層階は風が強く、落下すると地上で大事故になりかねない。外観をそろえたいという理由もある
  2. 物を置かない:植木鉢や物干し台なども、風で飛ばされるおそれがあるとして制限されることがある
  3. 避難の邪魔をしない:バルコニーは火事のときの避難経路でもある。隣との仕切り板の前や、避難ハッチの上に物を置かないよう決められていることが多い

洗濯を外に干したい人にとっては、ここが最初の分かれ道になる。外に干せない場合の電気代は、部屋干しの電気代を比べるで計算している。

2. ペット:「飼育可」でも条件がつく

ペットを飼う人、飼う予定がある人は、ここを外せない。

標準管理規約のコメント(解説)では、ペットの飼育を禁止する場合と、認める場合の両方の規定例が示されている。認める場合でも、動物の種類や数を限ったり、管理組合への届出や登録を求めたり、共用部分での連れ歩き方やふん尿の処理を決めたりすることが想定されている。

つまり「ペット可」と書いてあっても、中身はマンションによってかなり違う。確かめたいのは次の点だ。

  1. 飼える種類と数、大きさの上限
  2. 届出や登録が必要か
  3. 共用部分での決まり:エレベーターや廊下では抱きかかえる、ペット用の表示を出すなど。タワマンは毎日エレベーターを使うので、ここが暮らしやすさに直結する

今は飼っていなくても、将来飼いたいなら、今のうちに確認しておいたほうがいい。

3. リフォーム:床も窓も、自由にはならない

部屋の中は自分のもの。だから好きにリフォームできる、とは限らない。

標準管理規約では、共用部分やほかの部屋に影響するおそれのある工事をするときは、事前に理事長に申請して承認を受けることになっている(第17条)。

特に引っかかりやすいのは次の3つだ。

  1. 床の張り替え:カーペットからフローリングに変えると、下の階への音が伝わりやすくなる。床材の遮音性能に基準を設けている使用細則は多い
  2. 窓と玄関扉:標準管理規約では、窓枠・窓ガラス・玄関扉もバルコニーと同じく共用部分の扱いだ(第14条)。断熱のために窓を替えたいと思っても、個人の判断ではできないことが多い
  3. 工事できる曜日・時間帯:平日の日中だけ、などと決まっていることが多い。工事の日程と費用に響く

中古のタワマンを買ってリノベーションする予定なら、買う前に規約と細則を読み、やりたい工事ができるかを確かめておきたい。

4. 民泊・貸し方:将来「貸す」つもりなら

今は自分で住むつもりでも、転勤や住み替えで人に貸すことはある。そのときに効いてくるのがここだ。

  • 民泊:標準管理規約には、住宅宿泊事業(いわゆる民泊)を「認める」パターンと「禁止する」パターンの2つの書き方が用意されている(第12条)。タワマンでは禁止しているところも多い。規約に書いていなくても、総会で禁止が決まることもある
  • 普通に貸すとき:標準管理規約では、部屋を貸すときは、借りる人に規約と使用細則を守らせ、守るという誓約書を管理組合に出させることになっている(第19条)

貸す・売るときに効くポイントは、タワマンを貸す・売るときに効く「眺望以外」のポイントにまとめた。

5. 駐車場:部屋を買っても、車を停められるとは限らない

車を持っている人は、最後にここを確かめておきたい。

標準管理規約では、駐車場は管理組合が特定の区分所有者に貸す形になっている(第15条)。そして、部屋を売ったり人に貸したりすると、その人の駐車場の契約は効力を失うとされている(同条第3項)。

これは裏を返すと、中古で部屋を買っても、前の持ち主の駐車場をそのまま引き継げるとは限らないということだ。空きがなければ順番待ちになる。

あわせて確かめたいのは次の点だ。

  1. 今、空きがあるか。なければ何台待ちか
  2. 機械式なら、車の大きさや重さの制限:高さや幅、重さの上限があり、背の高い車や大きなSUVが入らないことがある
  3. 使用料と、機械式駐車場の修繕費:機械式駐車場は入れ替えに大きなお金がかかる。修繕積立金の計画にどう入っているかも見ておきたい

規約は「今」だけでなく「これから」も見る

管理規約は、総会の決議で変わることがある。ペットや民泊、駐車場のルールが、住んでいる途中で変わることもあるわけだ。

だから、規約と一緒に過去の総会の議事録も読んでおくと安心だ。どんなルール変更が話し合われているか、揉めていることはないかが分かる。読み方は総会の議事録、どこを読めばいい?にまとめた。

買う人・売る人の目線で整理すると

見るところ住む人が困ること売る・貸すときに効くこと
バルコニー外干しできない、物を置けない乾燥機や浴室乾燥がある部屋は説明しやすい
ペット飼えない、条件が厳しい飼育可かどうかで、買い手・借り手の数が変わる
リフォームやりたい工事ができない床や窓の制限は、リノベ前提の買い手が気にする
民泊・貸し方将来の使い方が限られる誓約書などの手続きが必要になる
駐車場買っても停められないことがある売るときに「駐車場は引き継げない」と伝える必要がある

まとめ:眺望を見る前に、規約を5か所だけ読む

タワマンの内見では、どうしても眺望や共用施設に目が行く。でも、毎日の暮らしを決めるのは、管理規約と使用細則に書かれた地味なルールのほうだ。

バルコニー、ペット、リフォーム、民泊・貸し方、駐車場。この5か所だけでも先に読んでおけば、「住んでみたら、そんなルールだった」はかなり減らせる。

参考