西日は、内見で見落としやすい弱点の一つだ。午前中に内見すれば、西向きの窓には日が入っていない。部屋は明るく、涼しく見える。

私が低層マンションの最上階に住んだとき、暑さの原因の一つが西日だった。周りの建物より少し高い位置にあったので、夕方の日差しをさえぎるものがなかったのだ(低層マンションの最上階は最強、のはずだった)。

この記事では、西日の強い部屋かどうかを、買う前・借りる前に確かめる方法をまとめる。

西日は、なぜ暑いのか

西日が暑く感じるのには、いくつか理由がある。

  • 日差しが横から入る:夕方の太陽は低い位置にあるので、ひさしやバルコニーの屋根では防ぎにくく、部屋の奥まで差し込む
  • 一日で一番暑い時間帯に重なる:午後は外気温が高く、そこに日差しの熱が加わる
  • 夜まで熱が残る:日が沈んだあとも、壁や床にたまった熱がなかなか抜けない

熱の入り口は、主に窓だ。広島県の解説では、夏に冷房の効きを妨げる熱の約74%が窓から入ってくるとされている。西日対策は、ほぼ「窓の対策」だと考えていい。

「西向き」だけではない。夏の夕日は北西から差す

方角を見るときに知っておきたいのは、日が沈む方角は季節で変わるということだ。

国立天文台の暦計算室によると、東京で日が沈む方位は、夏至のころは北から約300°(真西から北へ約30°)、冬至のころは約241°(真西から南へ約30°)になる。

時期(東京)日の入りの方位日の入りの時刻
夏至のころ(6月下旬)約300°(西北西寄り)19時ごろ
冬至のころ(12月下旬)約241°(西南西寄り)16時半ごろ

つまり夏の夕方は、西向きの窓だけでなく、北西向きの窓にも日が入る。「北向きだから西日は関係ない」と思っていると、夏の夕方に驚くことになる。暑さが問題になるのは夏なので、北西向きの窓も確認しておきたい。

買う前・借りる前に確かめる方法

  1. 間取り図の方位記号を見る:まず、どの窓がどちらを向いているかを確かめる。リビングの大きな窓が西〜北西を向いているなら、西日の影響を受ける可能性がある
  2. 地図アプリで周りの建物を見る:地図の航空写真や3D表示で、西側に日差しをさえぎる建物や木があるかを確かめる。ただし、低い建物しかなければ、上の階には日が入る
  3. 日の入りの方位を地図に重ねる:国立天文台の暦計算室では、都道府県ごとに日の出・日の入りの時刻と方位を調べられる。その方位を地図に当てはめると、夕日がどの建物の上を通って入ってくるかが想像しやすい
  4. 晴れた日の夕方に、もう一度行く:一番確実なのは、実際にその時間に行くことだ。窓のどこまで日が差すか、床や壁がどれくらい熱くなるかが分かる(内見は時間帯を変えて2回)
  5. 西側の土地に、将来なにが建つかを確かめる:今は空き地や駐車場でも、高い建物が建てば日差しは変わる。自治体の都市計画図で、西側の土地の用途地域を見ておくと、どのくらいの高さの建物が建ちうるかの目安になる

5番は、裏を返せば「今は西日をさえぎっている建物が、なくなる可能性もある」ということでもある。周りの環境は、ずっと同じとは限らない。

入ってからできる遮熱対策

西日が入る部屋に決めたとしても、対策はある。費用は製品や窓の大きさで大きく変わるので、ここでは手軽さの目安として整理する。

対策手軽さ費用感賃貸でも使いやすいか
遮熱カーテン取り替えるだけ比較的安い使いやすい
すだれ・外付けのシェード窓の外に掛ける比較的安い〜中くらい管理規約や取り付け方法を確認
窓ガラスに貼る遮熱フィルム自分で貼れる製品もある中くらいはがせるタイプを選ぶ・事前に確認
内窓(二重窓)の設置工事が必要高め大家さんの許可が必要

一番効くのは、日差しを窓の外でさえぎることだと言われる。窓の内側のカーテンでも効果はあるが、一度ガラスを通った熱は部屋の中に入ってしまうからだ。

ただし、マンションでは窓ガラスやサッシ、バルコニーが共用部分とされていることが多い。外にシェードを付ける、フィルムを貼るといった対策も、管理規約で制限されていることがある。賃貸なら、原状回復できる範囲かどうかを大家さんや管理会社に確認しておく。

買う場合は、窓の断熱改修に国の補助制度が使えることがある。環境省の「先進的窓リノベ2026事業」は、既存住宅の窓を高性能な断熱窓にする工事が対象だ。受付期間や予算には限りがあるので、検討するなら早めに施工業者に相談したい。

売る側・貸す側の目線

西日の強い部屋を売ったり貸したりするときは、内見の時間帯が効いてくる。午前中の内見なら、西日の弱点はほとんど見えない。

ただ、それで決めた買い手や入居者が、住んでから不満を持つこともある。遮熱カーテンを付けておく、エアコンの能力に余裕を持たせておくなど、弱点を和らげる工夫をしたうえで、正直に伝えるほうが長い目で見て安心だ。

西日には、冬は部屋が暖かくなる、洗濯物が乾きやすいといった良い面もある。弱点と良い面の両方を伝えられると、納得して決めてもらいやすい。

まとめ:西日は、夕方に行かないと分からない

西日の強さは、間取り図だけでは分からない。方角を確かめ、夏の夕日は北西からも差すことを頭に入れ、できれば晴れた日の夕方に一度行ってみてほしい。

入ってからでも、遮熱カーテンやすだれなど、できる対策はある。大事なのは、知らずに住み始めないことだ。階数による暑さの違いは最上階・角部屋・1階、階数と位置で違う住み心地にまとめている。

参考