同じマンションの、同じ間取りの部屋。それでも、何階のどの位置にあるかで、住み心地はけっこう変わる。
私は低層マンションの最上階に住んだとき、冬でも冷房をつけるほどの暑さに悩まされた(低層マンションの最上階は最強、のはずだった)。間取り図にはどこにも書いていない弱点だった。
この記事では、マンションの部屋を「最上階」「中間階」「1階」「角部屋」の4つに分けて、暑さ寒さ、音、虫、防犯、価格の違いを整理する。どれが一番いい、という話ではない。何を優先するかで、正解は変わる。
まずは一覧で比べる
| 最上階 | 中間階 | 1階 | 角部屋 | |
|---|---|---|---|---|
| 暑さ・寒さ | 夏は屋上の熱で暑くなりやすい | 上下左右を住戸に囲まれ、温度が安定しやすい | 夏は比較的涼しいが、冬は床から冷えやすい | 外に面する壁と窓が多く、夏も冬も外気の影響を受けやすい |
| 音 | 上からの足音がない | 上下左右から音が来る可能性がある | 下の階がないので、足音を気にしにくい | 隣の住戸が片側だけ |
| 虫 | 少なめと言われるが、ゼロではない | 階による | 植栽や地面が近く、出やすい | 階による |
| 防犯 | 屋上やバルコニーづたいの侵入に注意 | 比較的狙われにくいとされる | 窓からの侵入に特に注意 | 窓が多いぶん、施錠の手間も増える |
| 価格 | 高くなりやすい | 標準的 | 安めに設定されやすい | 同じ階の中では高めになりやすい |
ここからは、それぞれを少し詳しく見ていく。
暑さ・寒さ:最上階と角部屋は「外に面する面」が多い
部屋の温度は、外とどれだけ接しているかで大きく変わる。
中間階の真ん中の部屋は、上下左右を別の住戸に囲まれている。周りの部屋が断熱材のような役割をしてくれるので、夏も冬も温度が安定しやすい。
最上階は、天井のすぐ上が屋上だ。夏の日差しで熱くなった屋上の熱が、天井から部屋に伝わってくる。さらに周りの建物より高いと、夕方の西日をさえぎるものがない。私が冬でも冷房をつけたのは、この二つが重なったからだった。西日については西日の部屋、買う前・借りる前に確かめる方法で詳しく書いている。
角部屋は、窓が多くて明るい。その一方で、外に面する壁も多いので、夏は暑く、冬は寒くなりやすい。1階は地面に近く、夏は比較的涼しいが、冬は床からの冷えを感じやすい。
音:上の階がない、下の階がない
マンションの音のトラブルで多いのは、上の階からの足音だ。最上階なら、上からの足音に悩むことはない。
逆に、小さい子どもがいて「下の階に足音が響かないか」が気になるなら、1階が候補になる。下に住戸がないので、気を遣う相手が一つ減る。
ただし、音の相手がいなくなるわけではない。私も戸建てに移ったとき、下の階はなくなったのに、今度は隣の家の音が気になった(戸建てなら音を気にせず暮らせる、はずだった)。1階なら、共用廊下やエントランス、駐輪場の出入りの音が近くなることもある。角部屋は隣の住戸が片側だけになるが、外の道路に面していれば車の音が入ってくる。
虫:1階は出やすい、上の階でもゼロではない
1階は植栽や地面が近く、虫が入ってきやすい。専用庭つきの部屋なら、なおさらだ。
上の階に行くほど虫は少なくなると言われる。ただ、エレベーターや人の服について上がってくることもあり、高層階でも出ないとは言い切れない。虫が苦手な人は、階数だけで安心せず、網戸の状態や、排水口まわりのすき間も見ておきたい。
防犯:低い階は「窓」、高い階でも「鍵」
警察庁の「住まいる防犯110番」によると、共同住宅の侵入窃盗は、3階建て以下でも4階建て以上でも、侵入口の1位は表出入口(玄関)、2位は窓だ。侵入の手口は、どちらも1位が「無締り」、つまり鍵のかけ忘れである。
1階は、通りや庭から窓に近づきやすい。窓まわりの防犯は、上の階以上に気を配りたい。最上階でも、屋上や隣のバルコニーから回り込まれる心配がまったくないわけではない。どの階に住んでも、まずは玄関と窓の鍵をかける習慣が基本になる。
価格:上の階ほど高く、1階は安め
新築でも中古でも、同じ間取りなら上の階ほど価格が高くなる傾向がある。眺めや日当たりがよく、上からの音がないことが評価されるからだ。角部屋も、窓が多く明るいので、同じ階の中では高めになりやすい。
1階は比較的安く設定されることが多い。そのぶん、同じ予算で広い部屋を選べることもある。
将来売ることを考えるなら、最上階や角部屋は「欲しい人が多い」部屋になりやすい。ただ、最上階の暑さのように、住んでみて分かる弱点もある。買う側は、価格が高い理由と、その部屋特有の弱点の両方を確かめておきたい。
内見で確かめたいこと
- 最上階なら、屋上の断熱と防水について聞く:屋上の工事の時期や予定を、管理会社や不動産会社に確認する
- 晴れた日の午後に、窓の外を見る:西日がどこまで入るか、周りの建物が影になるかが分かる
- 1階なら、窓の外に誰が近づけるかを見る:通路や植栽から窓に手が届かないか、面格子や防犯フィルムがあるか
- 上下左右の部屋の使われ方を想像する:隣が共用廊下か、エレベーターか、ゴミ置き場か
- 時間帯を変えてもう一度行く:音や人の出入りは、行く時間で大きく変わる(内見は時間帯を変えて2回)
まとめ:「何階のどこ」で、住み心地は変わる
最上階は静かで眺めがいいが、暑くなりやすい。中間階はバランスがいい。1階は下の階を気にしなくていいが、虫と防犯に気を配りたい。角部屋は明るいが、外気の影響を受けやすい。
どの部屋にも、いいところと弱点がある。間取り図で同じに見える部屋でも、階数と位置まで含めて比べてほしい。住まいの種類ごとの違いは、住み比べ早見表にまとめている。