内見は、たいてい不動産会社の都合のいい時間に、30分ほどで終わる。平日の昼間か、休日の昼過ぎ。明るくて、静かで、家がいちばんよく見える時間だ。

でも、そこで見えているのは、その家の「ある時間の一瞬」でしかない。

私が戸建てに住んだときも、内見の時間帯は周りがとても静かだったのに、住み始めると周りの音や外の人の声が思った以上に聞こえてきた(戸建てなら音を気にせず暮らせる、はずだった)。低層マンションの最上階では、内見では見えなかった西日と屋上の熱に悩まされた(低層マンションの最上階は最強、のはずだった)。

だからこの記事の結論は先に書いておく。内見は、時間帯を変えて2回行く。 戸建てでもマンションでも、借りるときでも買うときでも同じだ。

なぜ1回では足りないのか

家の住み心地を左右するものの多くは、時間とともに変わる。

  • 音:通勤・通学の時間帯、子どもが帰ってくる夕方、夜の車通り
  • 人通り:駅への抜け道になっているか、夜道は明るいか
  • 日当たり:朝日、昼の日差し、西日。季節でも変わる
  • 車:朝夕に駐車場や前の道が混むか
  • 生活の気配:ゴミ置き場、共用部、近所の人の暮らし方

昼間の住宅街は、働く人や学校に行く人が出払っていて、驚くほど静かなことがある。1回目の内見が平日の昼なら、2回目は朝か夕方、または休日にずらしたい。

曜日・時間帯ごとに見ること(早見表)

時間帯主に見るもの確かめ方
平日の朝(7〜9時ごろ)通勤・通学の人通り、駐車場の出入り、前の道の渋滞、バスの混み具合最寄り駅やバス停まで実際に歩く・乗る
平日の昼日当たり、周りの工場や店の音、工事の有無窓を開けて5分ほど黙って聞く
夕方(16〜18時ごろ)西日の入り方、子どもの声、帰宅ラッシュの車西向きの窓から外を見る。床に日が当たる範囲を見る
夜(20時以降)夜道の明るさ、街灯、近所の飲食店、上下左右の生活音駅から家まで歩いて帰ってみる
休日近所の人の過ごし方、公園や商業施設の混雑、車の出入り家の周りを一周歩く

全部を回る必要はない。1回目と違う時間帯を1つ選ぶだけでも、見えるものはかなり変わる。

2回目の内見で確かめたい8つのこと

  1. 音:窓を閉めた状態と開けた状態の両方で聞く。家の中だけでなく、周りの道を少し歩くと、音の様子がよく分かる。マンションなら、廊下やエレベーターまわりの音も聞いておく
  2. 人通りと視線:前の道をどんな人が、どのくらい通るか。リビングの窓から外が見えるということは、外からも見えるということだ。カーテンを開けて暮らせそうかを想像する(目隠しのルールは隣家との距離と「目隠し」のルールにまとめた)
  3. 日当たりと西日:晴れた日の午後から夕方に、どこまで日が入るか。窓の外に日差しをさえぎる建物や木があるか(くわしくは西日の部屋、買う前・借りる前に確かめる方法)
  4. 駐車場の出入り:朝夕に、駐車場から前の道へ出やすいか。マンションの機械式駐車場なら、出庫の待ち時間がどのくらいか。戸建てなら、前の道の幅と交通量で車庫入れのしやすさが変わる
  5. ゴミ置き場:場所、におい、散らかり具合。収集日の朝に見ると、住人のマナーや管理の様子がよく分かる。戸建てなら、自分の家の前が集積所になっていないかも確認したい
  6. 共用部の様子(マンション):郵便受けのチラシ、自転車置き場、掲示板。掲示板の「お願い」の貼り紙には、そのマンションで実際に起きている困りごとが書いてあることが多い
  7. 駅・バス停までの道:昼と夜で印象が違う道は多い。街灯の少ない区間、坂、歩道のない道がないか。バス便なら、朝の本数と道路の混み具合も見る(「バス10分」の家、通勤の実時間とお金を計算)
  8. 周りの施設の「時間」:近くに学校、保育園、飲食店、店の搬入口があるか。昼は気にならなくても、登校時間や閉店後に音が出ることがある

2回目を頼むときのコツ

「もう一度見たい」と言うのは、まったく失礼なことではない。家を売る側から見ても、2回目の内見を希望する人は、本気で検討している人だ。

  • 時間帯を指定して頼む:「夕方の日当たりを見たいので、16時ごろに」と理由を添えると、話が通りやすい
  • 居住中の家は、遠慮しすぎない:売主が住んでいる家は時間の調整が必要になる。ただ、家の外まわりや駅までの道は、予約なしで自分だけで見に行ける
  • 外だけでも行く:中に入れなくても、家の周り、ゴミ置き場、駐車場の出入り、夜道は外から確かめられる
  • 写真とメモを残す:時間と天気を書き添えておくと、1回目との比較がしやすい

売る側・貸す側から見ると

自分の家を売る・貸すときも、この視点は使える。

内見の時間帯は、売る側がある程度選べる。日当たりのいい部屋なら、日の入る時間に見てもらいたいのは当然だ。ただ、弱点を隠すために時間帯を選ぶのはおすすめしない。買った人・借りた人が住み始めてから気づけば、トラブルのもとになる。

むしろ「夕方は西日が入るので、遮熱カーテンを使っていた」「朝は駐車場の出入りが混む」など、住んでいた人だから分かる情報を先に伝えたほうが、相手は安心して決められる。

まとめ:家は「時間」で見る

内見で見ているのは、家の一瞬だ。音、人通り、日当たり、駐車場、ゴミ置き場。どれも、時間帯を変えるだけで違う顔を見せる。

1回目で気に入ったら、2回目は時間をずらして行ってみてほしい。中に入れなくても、家の周りを朝と夜に歩くだけで分かることは多い。内見全般の見落としやすいポイントは、内見では分からなかったことまとめにもまとめている。