バス便の家は、買うときは安い。そして売るときも、やっぱり安い。
区分マンション投資でやらかした話では、バス便・築30年のファミリー向けの部屋が「貸していれば赤字ではないが、売るに売れない」状態になった話を書いた。駅近の物件なら住みたい人が買ってくれることもあるが、バス便ではそれも期待しにくい。
では、バス便の家を手放したい人は、何をすればいいのか。この記事では、売るとき・貸すときに効くポイントを、個人で売り買いを考えている人にも分かるように整理する。
まず「誰が買うのか・借りるのか」を考える
駅近の家は、通勤に便利というだけで、いろいろな人が候補になる。バス便の家は、相手がもっと絞られる。代表的なのは次のような人だ。
| 相手 | 重視しそうなこと |
|---|---|
| 予算を抑えたいファミリー | 広さ、部屋数、学校までの距離、周りの公園 |
| 車を持っている人 | 駐車場の有無と料金、幹線道路への出やすさ |
| 在宅勤務が多い人 | 静かさ、仕事部屋にできる部屋、ネット回線 |
| 地元に住み続けたい人 | 実家や職場との近さ、なじみのある学区 |
駅からの近さで勝負できないなら、広さ・静かさ・車の使いやすさで勝負することになる。バス便の家の体験記で書いたように、同じ予算で広さなどの条件がぐっと良くなるのが、バス便の家のいいところだ。それを、そのまま相手に伝える。
値段は「同じくらい駅から遠い家」と比べる
値付けで一番やりがちなのは、同じ駅の駅近物件の値段を見て、そこから少し引くことだ。これだと、たいてい高すぎる。
比べる相手は、同じエリアで、バス便の、似た広さ・築年数の家である。国土交通省の「不動産情報ライブラリ」などで、実際に成約した価格を調べられる。調べ方は査定より先に見るべき「成約価格」の調べ方にまとめた。
マンションなら、管理費・修繕積立金も値段に直結する。積立金が足りずに値上げが見込まれる物件は、買い手の利回り計算や毎月の負担に響く。修繕積立金は足りている?で、目安の確かめ方を紹介している。
広告は「規約どおり」に書くと、かえって信頼される
不動産会社の広告には「不動産の表示に関する公正競争規約」という業界ルールがあり、交通の書き方が決められている。
- 徒歩の時間は80メートル1分で計算する:端数は切り上げ。家からバス停までの「停歩◯分」も同じ
- 駅までの書き方:最寄駅の名前、家からバス停までの徒歩時間、バス停から駅までのバスの時間を並べて書く
- バスの所要時間は朝の通勤ラッシュ時のもの:平常時の時間は、その旨を書いて並べることができる
- 新しくできる予定のバス停:運行するバス会社などが公表したものに限り、予定時期を書いて表示できる
本来は不動産会社が広告を出すときのルールだが、個人で売る場合も、この書き方に合わせておくと買い手が他の物件と比べやすい。個人間売買では、相手を信用できるかどうかが何より大事になる。数字を盛らないことが、そのまま信用になる。
見せ方のコツ:不便さを先に、具体的に
バス便の家を見に来る人は、駅から遠いことはもう分かっている。知りたいのは「どのくらい不便なのか」だ。
- 時刻表を用意しておく:朝の本数、始発と終バス、土休日のダイヤ。紙1枚にまとめて渡せると親切だ
- 駅までの実時間を書く:待ち時間込みで、朝は何分見ておけばいいか。計算の考え方は「バス10分」の家、通勤の実時間とお金を参考にしてほしい
- 駐車場と自転車置き場:空きがあるか、料金はいくらか。車を持つ人には、ここが決め手になる
- 生活の近場:スーパー、ドラッグストア、病院、学校。駅前に行かなくても暮らせることを見せる
- 宅配の受け取り:宅配ボックスの有無や、ネットスーパーの配達エリアに入っているか
減便がすでに決まっている、終バスが早くなった、といった事情は、隠さず伝えたほうがいい。あとで知った買い手との間でトラブルになりかねない。バスの将来の調べ方はバスの時刻表の見方と「減便・廃止」リスクにまとめた。
貸すなら:長く住んでもらう工夫を
バス便の物件は、入居者が出ていくと次が決まるまで時間がかかりやすい。だから貸すときは、新しい人を呼ぶ工夫と同じくらい、今の人に長く住んでもらう工夫が効く。
- 駐車場つき、または近くの月極駐車場の空き状況を案内する
- ペット可や、仕事部屋にしやすい間取りなど、駅近にない良さを打ち出す
- 家賃は、同じエリアのバス便物件の相場で決める。駅近の相場から引いて決めない
- 設備の故障には早めに対応する。退去されると、次の募集とリフォームの費用がかかる
入居者がいる状態のまま売る「オーナーチェンジ」という選択肢もある。住みたい人ではなく、利回りを見る投資家が相手になる売り方だ。メリットと落とし穴はオーナーチェンジ物件のメリットと落とし穴で整理している。
まとめ:バス便の家は「駅からの距離」以外で選ばれる
バス便の家を駅近と同じ物差しで売ろうとすると、負けてしまう。広さ、静かさ、車の使いやすさ。駅から遠いぶん手に入ったものを、具体的な数字で見せること。そして不便さも、時刻表と実時間で正直に伝えること。
そうすれば、バス便の家を探している人には、ちゃんと届く。